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鉄道の新線・延伸で「化ける」首都圏の街は? 相鉄が人気上昇中、TXと大江戸線にも注目

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建設工事が進む相鉄線の「羽沢横浜国大駅」。2019年度にJR線との直通を開始する予定だ=2018年1月(撮影:尾形文繁)

2005年の開業以来、一気に人気エリアとなったつくばエクスプレス(TX)沿線に代表されるように、鉄道の新路線が地域の発展に与える影響は絶大だ。現在も多数の延伸・新線構想が存在する首都圏。延びる鉄道に合わせて「伸びる」街はどこか。

首都圏の鉄道新線計画は、基本的には国土交通省の交通政策審議会が答申した整備方針に基づいて進められている。2016年の答申に盛り込まれたのは24路線。これらの路線計画を引き合いに出し、将来の利便性向上などをセールストークとして使う不動産業者もあるようだ。

だが、「業者の営業ツールとしてはともかく、いつ開業といった具体的な内容が見えてこないと、不動産価格に目立った動きは表れない」と、不動産経済研究所の松田忠司・主任研究員は言う。2016年の答申には、具体的な開業目標年次などは示されていない。

都心直通で変わる相鉄沿線

そんな中、首都圏で実際に工事が進んでいる新路線もある。神奈川県の大手私鉄・相模鉄道(相鉄)の西谷駅(横浜市保土ケ谷区)とJR東海道貨物線の横浜羽沢駅付近を結ぶ「相鉄・JR直通線」、同駅付近から新横浜駅を経て東急線日吉駅を結ぶ「相鉄・東急直通線」だ。

前者は2019年度下期、後者は2022年度下期の開業を目指す。横浜羽沢駅付近には新駅「羽沢横浜国大」駅が開設される。2018年12月には、西谷―新横浜間の路線名が「相鉄新横浜線」、新横浜―日吉間が「東急新横浜線」に決まった。

開業後は相鉄線から東京都心への直通列車が走り、現在は横浜乗り換えで59分かかる二俣川(同市旭区)―新宿間が乗り換えなしで44分に短縮される見込みだ。

相鉄線沿線は昭和40~50年代に開発された住宅地が多く、現役世代の減少で近年は利用者の微減が続いていた。だが、直通線開業を前に、沿線人気には上昇の兆候が見られるようになっている。

その代表格が二俣川駅徒歩2分のタワーマンション「グレーシアタワー二俣川」だ。

相鉄線の二俣川駅前。高層マンション「グレーシアタワー二俣川」がそびえ立つ(記者撮影)

同マンションは1坪=280万円程度(1平方メートル=約84.7万円)で同エリアでは高めだが、2016年9月に販売を開始、半年ほどで完売した。「あっという間に売れた理由には、当然ながら直通線開業で利便性の上がる点が支持された」と松田氏は見る。

同物件を開発した相鉄不動産の鈴木淳・開発営業センター課長も、「(購入の際)資産価値が維持できるかを気にする方が多い中、直通線開業というポテンシャルを評価した人は多かっただろう」と言う。

じわじわ高まる「直通線効果」

相鉄は神奈川県内での知名度こそ高いものの、都内では低いのが実情。そこで同社は都心直通で利便性が向上する沿線に目を向けてもらおうと、電車の塗装を横浜の海をイメージした「ヨコハマネイビーブルー」に塗り替えるなどブランディングを進めてきた。

鈴木氏によると、二俣川から1駅の南万騎が原駅前に建つマンション「グレーシアみなまきみらい」購入者が同物件を選んだ主な理由として「都心直通」がランクインしているといい、直通線効果はじわじわ高まりつつあるようだ。

2019年からは、西谷駅付近で開発を進めていた戸建て住宅の販売も始める予定で、都心直通とともに「子育て環境に優れた沿線」(鈴木氏)をPRする。沿線では、2018年春の小田急線複々線化による利便性向上と再開発の進展で海老名駅が注目を集めている点も追い風だ。

とはいえ、相鉄沿線は肝心の新築物件が少ないのが現状。直通線開業に向けて沿線の人気が本格的に高まるかどうかは、今後の物件供給次第といえそうだ。

注目は大江戸線とTX

計画段階の路線にも動きがある。東京都は2018年4月、豊洲と住吉を結ぶ地下鉄など都内6路線の事業化を見据え、「東京都鉄道新線建設等準備基金」を創設した。だが、「豊洲―住吉間など、すでに人が多いから通すという路線は『新線効果』は少ない」(松田氏)。

伸びしろがあるとすれば、郊外で計画されている新線沿線か、都心部の新線開業によって利便性が高まる郊外エリアになりそうだ。

たとえば都営大江戸線の延伸計画がある大泉学園町(練馬区)は、開業とともに大規模再開発が行われれば人気がハネ上がる可能性はある。

都が調査費を計上した路線には含まれないものの、TXの東京延伸計画も「東京へ直結という利便性で、守谷―三郷中央間など郊外の人気をさらに押し上げる効果はあるだろう」と松田氏は見る。

これらの路線が実現するかどうかまだ不明な現状では、計画を前提にした開発の動きは特に見られないのが事実だ。

とはいえ、新線や路線延伸は従来見過ごされてきた駅やエリアが人気の街に大変貌を遂げる一大チャンス。今後伸びるお買い得な街を探すなら、新線計画の進展に気を配っていて損はないだろう。

東経オンラインから

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